かとう鍼灸院ブログ

・鍼灸の価値 ・鍼灸の出番 ・鍼灸適応 ・個人差について ・得意な疾患


鍼灸の価値
画像  鍼灸は、薬を使わずにはりと灸の刺激で起こる生体反応(自然治癒力)をうまく利用して治す、今風に言えばエコ治療です。症状によっては即効性があり劇的に効きますが、基本的には効果のマイルドな治療法です。そのため、西洋医学のように無理やり症状を抑えることは苦手です。その分患者さんに症状を悪化させないような生活の仕方を守っていただくことに重きを置きます。これが養生です。
 また、西洋医学とは違った視点から患者さんを診るので、検査で異常が出なくて原因が分からない症状でも東洋医学的には説明や解決がつく場合があります。特に東洋医学特有の「陰陽、虚実、表裏、寒熱」や、「気、血、水」と言った病理観と、「経絡、経穴」そして「補瀉」と言った治療の概念は臨床上役に立ちます。
 鍼灸は軽微なからだの変調に即効するので、一部の例外を除いて鍼灸で治ればそれほど大きな問題ではなかったと片付けることができます。こうした特長を生かせば一次医療(一番最初にかかる医療)として活用できます。ただし、鍼灸師が家庭医としての初期治療を担うには診断能力を格段にあげなければならないのは言うまでもありません。これは今後の課題です。
 安全で効果の高い鍼灸治療が行われるようになると、日本の医療の質が変わります。無駄な検査や投薬が減り、人々が自分に備わった治癒力を上手に使って自然な形で健康を回復できるようになります。当然医療費も減ってきます。鍼灸は自然療法の中でそうした力を持つもっとも効果的で有用な治療法です。

鍼灸の出番

◆病院の検査では異常がないのに症状が取れないとき
 西洋医学の検査は命にかかわる病気や、放置すると重大な問題に発展するものを発見するためのものです。天候やストレス、生活上の癖などから起こる体調不良を調べるようにはなっていません。
 でも身体の不調を感じるのは確かにどこかが悪いからで、それを見つけるには東洋医学独自の視点が役に立ちます。心身の細かい異常や変調を探り出し改善していくのは鍼灸治療の最も得意とする分野です。
◆電気かけやマッサージをしても変わらないとき
 慢性の痛みに対する電気かけで楽にならないときは鍼灸治療をお試しください。マッサージをしたときは気持ちよいが、すぐに戻ってしまうコリも、鍼灸で効果が長持ちします。
◆症状が沢山あるとき
 あちらこちらとつらいところが多すぎて病院では全てを診てもらえないとか、訴えの数に応じて薬が増えてしまうのが嫌なときも鍼灸は便利です。
 細かい愁訴にも手軽に対応できます。
◆精神的ストレスや心配事で体調が悪いとき神経質だと取り合ってもらえないとき
 鍼灸治療は心と身体を一緒に診て治していく医療です。身体の治療をしながら心の治療も同時に行っていきます。聞きたい事がある人は何でも聞いてください。相談事がある人はどうぞ相談してください。話す、聞く、考える。その全ての作業が心を癒し回復させる大切な治療になります。
家族イラスト◆薬が飲めない、手術ができないとき
 特異体質、妊娠、授乳、胃弱などでお薬が使えないとか、高齢や他の病気(心臓病,糖尿病など)のために手術ができないときなども症状を抑える安全な治療法の一つとして鍼灸はお役に立ちます。
◆元気で長生きしたいとき
 鍼灸治療の真骨頂は未病治(病気になる前に治してしまう事)です。定期的な治療を続けていると元気で長生きできます。
 鍼灸治療はそれぞれの年代で役に立っています。

鍼灸の適応

 良くある質問です。その答えとして使われるのはWHOの発表です。これは日本鍼灸師会のホームページにあるので参考にしてください。 【社団法人 日本鍼灸師会】
 でも本当のことを言うと鍼灸が効果を発揮できるものは、病名ではなく病態(病気の状態)で表すとより正確に捉えられます。
 たとえば、同じような下肢の痛みとしびれ(坐骨神経痛)でもその原因が腰のヘルニアによるものと、お尻の筋肉の緊張によるもの(梨状筋症候群)とでは効いて来るまでの時間に大きな差が出ます。ヘルニアは神経の腫れが治まる時間が必要なのに対し、梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)は硬くなった筋肉をほぐすだけで、締め付けられていた神経が開放されて痛みはすぐ止まります。
 また、前立腺肥大でおしっこの出が悪いときでも、前立腺の腫れに占めるむくみやうっ血の割合に応じて効果の出方が大きく変わります。むくみやうっ血が占める割合が多いほど鍼灸治療による効果も大きく出ます。つまりどんな病気でも鍼灸が効く病態を含んでいれば効果を期待できると言う事です。
 最初の質問「鍼灸は何に効くのか」に戻れば、「何にでもそれなりに効くからやってみる価値はありますよ。」となります。そして効果の出る病態とは以下のようなものです。
◆ 効果の出る病態 ◆
  1. 筋肉の緊張や凝り
  2. 軽い炎症
  3. 血のめぐりの異常
  4. むくみ
  5. 自律神経の乱れ
  6. 神経の麻痺やしびれ

個人差について

 鍼灸の臨床は常に個人差との戦いです。鍼灸ほど効果に個人差が影響するものは無いかもしれません。また同じ人でもその日の体調や脳の興奮状態などによって治療効果に大きな差が生じます。ですから治療のパターン化が難しいのです。
 さらに患者さんの不安や不信感が強いうちは効果が出にくいので、いかに早く患者さんの信頼を獲得し、不安感をなくすことができるかは臨床家の力量が試されるところです。いわゆるカリスマ性も鍼灸師の大事な素養の一つです。
 一般に鍼が合う人と合わない人がいると言われますが、前述の個人差や不安感が影響しているのでしょう。一概に自分に鍼は合わないと決め付けないで、相性の良い鍼灸師を探しておくと色々と役に立ちます。

私の得意な疾患について

 長年治療をやってきて症例数が多くしかも効果が出やすいのはぎっくり腰と手の痛みとしびれです。それぞれについて少し詳しい話をしましょう。
【ぎっくり腰
 急に腰が痛くなることを一般に「ぎっくり腰」と呼びますが、その中身となると人それぞれです。鍼灸院を受診される患者さんにとっての関心事は、
  1. 自分の痛みはどこが悪いのか?
  2. どのぐらいで治るのか?
  3. 再発を防ぐにはどうしたらいいのか?
  4. 鍼で治るのかそれとも医者にかかったほうが良いのか?
と言ったところだと思います。そこで知っておくと役立つぎっくり腰の知識です。
静養が一番◆腰痛のほかに…
腰痛のほかに足の感覚が鈍くなったり、力が入りづらくなれば椎間板ヘルニアの可能性が高いので、決して無理は禁物です。
 まずは仕事を休んで数日自宅で安静を取ります。痛みが和らいでから検査を受けるほうが賢いかもしれません。程度が軽いヘルニアなら鍼灸で良くなります。痛みの強さに応じてお薬も併用したほうが無難です。
◆歩くのに足が突っ張ったり、もつれる
もし歩くのに足が突っ張ったり、もつれるような事があればすぐに病院の受診を勧めます。
 背骨の中にある脊髄が圧迫されている可能性が高いからです。これに対する鍼灸治療は検査結果が出て病院での治療方針がはっきりしてから相談しましょう。
◆横になって動かないと楽。
横になって動かないと楽。寝返り、寝起き動作がつらい。立って歩けるが中腰はつらいと言うのは椎間板が傷んだタイプでしょう。
 無理が利くので仕事を休まずに動いていて悪化させるケースが多いようです。働きたいのを我慢して横になりましょう。これは鍼灸が良く効きます。来院できれば早いほど良いでしょう。
◆何をしていても痛いので寝ていられない
何をしていても痛いので寝ていられないと言うのは、こじらせて炎症を強めたケースが多いようです。
 お風呂に入って温めたり、その後腰を揉んだり押したりしてしまうとこうなります。腰を冷やしてみてください。
 楽な姿勢をとってアイスノンや氷をビニール袋に入れて服の上から腰に当てます。冷やすのが正解なら「気持ち良い」と感じるはずです 。そのまま寝るまで冷やし続けます。寝てしまうときは冷シップに換えると良いでしょう。鍼灸治療はやっておくほうがいいのですが、移動の負担が大きいときは家でじっとしているほうが無難です。
*治療に要する日数はその人の椎間板の老化の度合いによりますが、何といっても安静をしっかり取れるかどうかで決まります。治療院まで自力で来られる人なら数日から1週間でひどい痛みは治まります。慣れた人になるとギクっと来た時点で仕事を止め、帰宅途中に鍼灸治療を受け、家で一日寝て翌々日には仕事に復帰する人もいます。
*再発を防ぐのにどうするかですが、まず体重が増えすぎていれば減量です。2〜3キロ減らすだけでも随分違います。次に腹筋と背筋の強化です。力仕事をする時はコルセットを締めたほうが安全です。(日常や寝るときははずしましょう。)
*寝不足、深酒、慢性疲労はぎっくり腰の3大遠因です。そうした悪条件が重なってきたら要注意です。ぎっくり腰はちょっとかがんだり、後や傍にあるものを取ろうとして上半身をひねったときや、不用意にくしゃみをしたときに起きがちです。危ない時期だと分かっていたら常に気を抜かずに動くことです。そして早めに身体を休めて疲労を取り筋力強化を図っておけば再発はかなり防げます。
*食べ物で良いものはありますか?と聞かれたときはお酢を勧めています。お酢は筋肉の疲労を取る力が強いので腰痛の予防効果が期待できます。できれば良質の米酢がお勧めです。
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