
鍼灸治療は身体に刺激を与え、その反応で病気を治す治療法です。治りの良し悪しは、1、病気の種類と重さ 2、身体の反応する力 3、刺激の適切さ 4、養生の良し悪しで決まります。患者さんに頑張ってもらうのは4、の養生です。
- たとえばぎっくり腰の場合、仕事をしながら治すのと仕事を休んで治すのでは治る速さが全く違います。冷えが原因で起こした症状は温かいものを着るようにすれば防げます。食事や生活習慣、感情の偏りを正すなど、健康のために自分でできることを気をつけるのが養生です。

お灸は自分でできる便利な治療法です。様々な症状に効果があります。本来ならもぐさをひねってすえるほうが良いのですが、かなりの訓練が必要なのでここは便利な千年灸をお勧めします。千年灸のホームぺージには症状別にツボの取り方が詳しく解説してあり、お灸をすえるときの注意事項も載っているのでお勧めです。
- 【せんねん灸ホームページ】
- ◆私からのアドバイス
- 初心者は千年灸のソフトが無難でしょう。少し慣れて熱さが物足りなければレギュラーを選ぶと良いでしょう。にんにくは熱さと臭いが強すぎてお勧めしません。レギュラーでも物足りないときは、同じところに2〜3個すえてみてください。
- 一般には多少熱いのを我慢したほうがすえた後の爽快感がでて軽くなります。むくみがあったり湿気が多い日は火ぶくれができることがあります。また、お灸をすえてすぐにお風呂に入ると火ぶくれができやすくなります。
- お灸は本来小さなやけどを治す身体の働きを使って他の病気も治療するものなので、多少のやけどはつき物です。火ぶくれができたら破らずにカットバンで押さえて自然に水が吸収されるのを待って下さい。水が吸収されるときに免疫力が高まります。
- 皮膚の弱い人や重い糖尿病のある人、麻痺がある部位には火傷を作るわけには行かないので、少し熱く感じたらお灸をずらすかはずしてください。それでも効果は期待できます。
- 間違ったツボにすえると悪くなるのではないかと心配する人もありますが、押してみて「あ〜そこそこ」と感じるところにすえてください。それが本来のツボです。
- お灸の熱さは慣れると気持ち良いものですが、全く感じないときは熱く感じるまで同じ場所に繰り返しすえます。急性の症状なら2〜3日続けてすえてください。体質改善の場合はちょいちょいすえていると良いでしょう。

- 病院で検査をしても原因が分からなくて鍼灸院を受診される方は多いものです。そんな場合大概は患者さんの日常生活の中に原因が潜んでいるものです。ただしそれを見つけるのにはコツが入ります。
- 無意識の行為が原因になっているので初診時に問いただしても思い出せるものではありません。訴えている症状や患者さんのプロフィール(仕事、家族構成、趣味、性格等)からこんなことはどうか?あんなことはしてないかと順に並べて聞いていきます。それでも見つからないときは、おおよそどんな負担がかかっているはずなのかを話しておいて、「普段の生活でちょっと気に留めて置いてください。きっとこれだなと思う原因に突き当たりますよ。」と言っておきます。すると次の治療のときに「先生分かった。○○が原因だった」と言ってくるものです。
- この生活の中に埋没している原因をきちんと見つけておかないと症状は繰り返されて治りません。思わぬ癖が痛みの元になっているケースを臨床で沢山学んでおくと、洞察力も増して犯人探しは上手になります。これはプライマリーケアー医に求められる大切な診断力だと私は思っています。こうして見つけた自分の癖を理解したうえで養生すれば適切に病気を防ぐことができます。

- 痛いところや苦しいところをしきりに押したり揉んだりしててこじらせる人が少なくありません。待合室で待っているときから問診の最中もいじりまくっているのですぐ分かります。こうした痛みや苦しさは押している限り治りません。鍼で治療した後はいじらないでそっとしておくとすぐ治ります。
- 確かに苦しいところをギュっと押すとその時はスッと楽になるのですが、またすぐに苦しさが戻ってしまい、同じ事の繰り返しになってしまいます。2〜3度押しても楽にならなければそれ以上はいじらないことです。
- 首や腰の節を抜くのにも同じことが言えます。何か引っかかったような痛みや苦しさがあるときは、ボキッとやるとスッとして楽になるものですが、これも癖になるとかえって節を抜くことで次の痛みや苦しさの原因を作ってしまうので堂々巡りになります。
- 強い指圧が好きなタイプの人も指圧でわざわざ凝りを作っているような場合があります。少し時間をかけてもやわらかい刺激で少しずつほぐしていくほうが戻りが少なくなります。過ぎたるは及ばざるが如しです。

- いじり過ぎと同類のものに「なめ過ぎ」や吸い過ぎによる舌の痛みがあります。人は緊張すると歯を噛み締めたり、舌を歯に押し付けたり、口の中を陰圧にして吸ったり、歯の裏をしつこく舐めたりするものです。これは無意識の行為なので長い間繰り返されて舌の痛みとして表面化してくることがあります。中には原因不明の痛みとして何年も膨大なお金と時間をかけて検査と治療を繰り返している人がいます。
- 舌が痛みを覚えるまでには至らなくても、精神的な緊張状態にあるかどうかは舌を見れば分かります。舌の先が赤くなっているからです。無意識に舌を歯の裏側に押し付けているためです。ご自分の舌を鏡で毎日見ていればその変化に気がつくはずです。
- 治し方はまず自分の緊張を意識すること。次に舌に力が入っていることに気がついたら口をぽかんと開け、顎(あご)の筋肉を手でマッサージすること。これを繰り返しているうちに舌に力を入れる癖は治まります。

肩こりは鍼灸の得意分野と思われているものの原因は多岐に渡り、奥の深い症状です。しつこい肩こりの原因が心臓や目、歯、うつ病など思わぬところから来ていることもあり、鍼灸治療を繰り返しても良くならない場合は視点を換えた原因の追究が必要になる事を先にお断りしておいて緊張と肩こりの話をします。
- 肩こりの患者さんの治療をしていると肩をすぼめる人がいます。私が肩を押し下げて力を抜かさせても、しばらくするとまた同じように肩をすぼめてしまうのです。結局いつも肩に力を入れているのですから筋肉が凝って硬く盛り上がるのも当然です。こうした人は普段どんな作業をしても肩が上がっているものです。癖と言えば癖なのですが、精神緊張がその根底に横たわっています。集中して作業に打ち込みやすいタイプの人がこうなります。
- 作業の途中で息を抜くことを習慣づけると随分症状が和らぎます。簡単にはストレッチと深呼吸が効果的です。緊張症の人は努めて定期的にこれをやるとひどい肩こりを作らずに済みます。先の舌痛症と同じことです。

- 最近若い男の人に増えている症状です。OA病の一症状とも言えます。動かずに頭と目、指を使い続けるのですから足は冷えて頭がのぼせるのも当たり前でしょう。これをさらに悪化させる要因にプレッシャーとモニターの明るさがあります。
- 男性は仕事や勉強での強いプレッシャーに対して弱音を吐かずに何とか打ち勝とうとします。これが持続的な緊張を強いて頭の興奮が治まらない状態になるので脳に行く血管が開いて血流を増やし、その分足の血管を閉じて帳尻を合わせます。これで冷えのぼせが出来上がります。こうした状態が長く続くと頭がボーっとして思考力が鈍りうつ状態に入ってしまいます。
- さらにモニターが明るすぎるために目の疲れが激しく、頭痛を引き起こします。こうなると肩こりも当然起こってきます。「のぼせ、緊張、目の疲れ、運動不足」と肩こりの原因のオンパレードになるので治療も大変です。
- 鍼灸院に見えたときには皆さん一目で分かるような真っ赤な顔をして、すねは硬く足はカリカリに冷えて汗ばんでいます。まずは頭を休めることです。仕事や勉強を思い切って制限する必要があります。モニター画面を暗くして休憩を取り、頭を冷やしましょう。また、足をストーブなどで暖めながら揉むと冷えが緩んでのぼせが減ります。足が汗ばむ人はかなり緊張も強いタイプなので靴下を頻繁に換え、足を乾かすようにしておくことも冷えを助長しないために有効です。散歩はとても良い効果があります。
- でもこうした症状は一人で何とかできるものではないので相談してください。

- 腰痛を温めて動けなくなる人がたまにいます。特に冬場の腰痛は冷えたのだろうとお風呂に入ってしまうようです。入っている間は楽なのですが、上がってしばらくするとズキズキやめてきます。また、電気敷布やコタツで患部を温めて悪化させる人もいます。いずれも腰に起きた炎症を煽ってしまったための失敗です。
- 急にギクっと来て痛くなった場合は迷わないのですが、じわじわ痛くなったり、重苦しさで始まる場合は冷やすか温めるか迷うものです。おかしいなと思ったらまず冷やしましょう。処置が当たっていれば次第に楽になってきます。違っていれば楽にならずに冷やすのが嫌な感じがするのでそれから温めても遅くはありません。先に温めて失敗するよりずっとましです。
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