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見落とされていた血管の詰まり| 曲がった腰に隠れた閉塞性動脈硬化症

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分
腰が大きく曲がった高齢女性が前かがみの姿勢で立っているイラスト。歩行時の下肢痛を訴える患者像を表現している。
曲がった腰で来院した高齢患者。歩行痛の背景には、見逃されていた下肢動脈の閉塞が潜んでいた。

曲がった腰と歩行痛 ―“脊柱管狭窄症”と見誤る症状

腰がくの字に曲がったお婆ちゃんが治療に見えた。歩くと右下肢が痛くなり、少し休めばまた歩けるというので典型的な間欠性跛行症だ。2ヶ月前から内科に通って電気をかけているが一向に良くならないという。医師には再三楽にならないと訴えているがそれ以上何もしてくれないので鍼に来たと言う。


「原因は二つ」――説明しながら気づいた盲点

痩せて曲がって伸びない腰を見れば、当然腰椎の変形による脊柱管狭窄症だろうという印象を持つ。これでは治るなんて安請け合いは出来ない。医師も婆ちゃんから治らないと言われる度に腹の中で「その腰じゃあ治るわけ無いだろう」と思ってたのかもしれない。 

しかし、「先生こういう症状は何が原因で起こるんですか」と言う患者さんからの質問に答えながらハッとした。「そうだね、主に原因は二つあってね、一つは腰の中が狭くなって起こるのと、もう一つは足の血管が詰まって起こることが、、、、、」そうだ、腰ばかり考えていて下肢血管の拍動を確認していなかった。


下肢の脈が触れない ― 血管性跛行を疑う決定的所見

すぐに患者さんの内くるぶしの下を触る。右だけ拍動が探せない。足背も探る。こちらも右が無い。膝の裏は?右が弱い。そけい部は両方触れる。どうやら右下肢の血管が詰まり気味になっているようだ。「お医師さんは足の脈拍を触ってみてくれなかったのかい?」と聞くと、「何にもしてけんに」との答え。


速やかな紹介と手術 ― 症状はぴたりと消失

早速血管外科のある病院に紹介状を書いて持たせた。紹介状の返事ではこちらの見立て通りで手術と相成った。3ヶ月後、腰痛と肩凝りで治療に見えた患者さんに聞いたら、手術後間欠跛行はぴたりと治ったそうだ。


誤診が起こる背景 ― “説明に都合のよい現象”に惑わされて思考が止まる危うさ

症状の原因を説明するのに都合の良い所見が目の前にあると、多少のあいまいさは誤差のうちだと処理してしまい、誤診を起こしやすくなる。とくに忙しいと「本当に間違いないのか?」と念を押す慎重さが鳴りを潜める。


以前紹介した症例では、腰下肢痛の患者さんに偶然見つかった腎結石が、 今回の症例では、ぐにゃりと曲がった腰が、説明に都合の良い現象となってしまった。

一度「これが原因だ」と思い込んでしまうと、患者さんが「治らない」と訴えても、容易に 診断を見直す動機は強まらない。


弱者の声が軽んじられる現実

もし患者さんが社会的に強い立場であれば、 同じ訴えでも、より丁寧に検討されていた可能性がある。

診断の落とし穴には、認知バイアスだけでなく、 患者さんの背景によって生じる“声の届きにくさ”も関わっている。

言わずもがなではあるが、誤診を防ぐには、診察の基本を愚直に守ることと、 どんな立場の患者さんの訴えにも同じ重みで耳を傾ける姿勢は欠かせない。

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