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スポーツ科学の中枢に潜入して、目の当たりにした“国の本気度”

  • 2025年11月5日
  • 読了時間: 3分

白いX型の構造が特徴的な近代的な多層建築。中央にガラス窓が広がり、周囲には緑と整備された歩道がある。晴天のもと、国立スポーツ科学センターの外観を写した写真
日本のスポーツ科学の中枢・国立スポーツ科学センター。トップアスリートの情報管理も徹底されていた。

1. 一流には一流のケアが必要だと感じた日


ある日、山形県の陸上競技・100mの県記録保持者が来院した。


県トップクラスともなると、求めるコンディショニングの質がまるで違う。


当時の私は、まだその要求に応えられるレベルになかった。


そこで、知人のつてを頼り、日本陸連が主催するトレーナーズセミナーを受講することになった。


会場は、あの 国立スポーツ科学センター(JISS)。 日本のスポーツ科学の中枢ともいえる場所だ。


2. トレーナー講習の中身は、まさに実戦仕様


3日間の集中研修では、以下のような幅広い内容を学んだ。


  • ドーピング対策

  • 整形外科・婦人科疾患

  • 栄養学・バイオメカニクス

  • コンディショニング・リハビリ

  • 救急法


中でも強烈に印象に残ったのが 栄養学の実践学習 だった。


最上階にある国際大会仕様のバイキングレストランで、3日間昼食をとりながら、栄養バランスとカロリー計算を実践するという課題。


講義で学んだ理論をそのまま自分の身体で確かめる。


食事内容によって体調がどう変わるのか、理屈通りの変化を体感できたのは貴重だった。


3. スポーツ医科学の粋を集めた設備に圧倒される


施設を案内されて、国のスポーツ振興の本気度に圧倒された。


スポーツ科学研究部門 には、 生理学、生化学、体力科学、バイオメカニクス、風洞、陸上競技の各実験室、映像編集室。


1階には、 全長100mの直走路、跳躍ピット、投てきサークル。 モーションキャプチャーやフォースプレートなど、動作分析のための計測器がずらり。


スポーツ医学研究部門 には、 診察室、臨床検査、薬剤、栄養相談、カウンセリング、画像検査、リハビリ、心理学実験室。 さらにトレーニングジムとハイパフォーマンスジムまで備わっている。


競技別の専用練習場も充実していて、 新体操、トランポリン、競泳、アーティスティックスイミングの専用施設が完備されていた。


そして驚いたのは、宿泊室の酸素濃度を高度1800〜3000m相当に設定できること


日本にいながら高地順応トレーニングができる環境が整っていた。


4. セキュリティーの堅牢さにかいた冷や汗


休み時間に、興味本位で最上階から施設内を歩いてみた。


しかし、どの部屋も鍵がかかっていて入れない。


4階まで降りてきたところで、監視モニターが壁一面に並ぶ部屋に出くわした。


その瞬間、 「ずっと監視されていたんだ」と気づき、冷や汗が出た。


トップアスリートの情報管理が徹底されていることを、身をもって理解した。


5. 学びを現場へ。トレーナーとしての実践開始


講習後、私は日本陸連のC級トレーナーとなり、陸上競技の審判資格も取得。


米沢陸協に所属し、翌年から競技会の医務班を担当するようになった。


現場で陸上特有の障害や選手の状態を学びながらの鍼灸臨床は、 選手のニーズに合ったサポートを提供するうえで大きな力になっている。


競技会ではケガの新鮮例を扱うことも多く、 ファーストエイドの対応力は格段に鍛えられた。


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